送迎保育ステーション

先日、送迎保育ステーションに関する下記の記事がありました。

 厚生労働省、待機児童解消のため送迎事業開始へ   (読売新聞 2001年8月21日付)

 認可保育所に入所を希望しながら入れない「待機児童」を解消するため、厚生労働省は来年度から、駅前などに「送迎保育ステーション」を整備し、保育所への送迎事業を新たに始める方針を決めた。地域の保育所に空きがあっても、駅や自宅から遠いという理由で第1希望が空くまで待つ保護者が多いことに対応するためで、都市部を中心に全国で50か所程度を整備する。約3万3000人いる待機児童のうち、千数百人の待機が解消される見込みという。

 送迎保育ステーションは、小泉首相が公約した「待機児童ゼロ作戦」の一環で、保育所の需要と供給のミスマッチを解消するのが目的。駅周辺のビルの1室を借りるなどして開設し、保育士らが集まった子どもたちをマイクロバスなどで保育所に送迎する。保育所が閉まった後は、再びステーションに子どもを集めて、保護者が引き取りに来るまで延長保育もする。ステーションを利用すれば、保護者が通勤途中に子どもを預けたり引き取ったりできるほか、複数の保育所の子どもを集めて効率的な延長保育が可能となる。

 各市町村がステーションの運営主体となり、国は運営費の3分の1と、施設整備費の一部を補助する。既存の保育所の分園として開設し、市町村が運営を委託することもできる。駅前に認可保育所を設置しようとすると、庭の確保などの設置基準を満たすのが難しいが、この方式なら整備しやすいメリットもある。



最初に用語の解説と送迎経路をご説明します。

【 用語解説 】
    送迎保育ステーション(以降、送迎保育stと略します) ・・・ 駅など交通の便利な場所に二重保育施設として設置し、朝夕、送迎保育st側で保育園への送迎を行います。

    二重保育 ・・・ 朝・夕の両方、もしくは朝あるいは夕方に、日中預けている保育園と別の施設に子どもを送迎し、その施設が朝・夕に保育園に送迎する事を言います。


【 送迎経路 】
    朝(親) : 自宅 → 送迎保育st → 最寄り駅(電車通勤の場合)→ 職場
    朝(子) : 自宅 → 送迎保育st → 保育園

    夕(親) : 職場 → 最寄り駅(電車通勤の場合)→ 送迎保育st → 自宅
    夕(子) : 保育園 → 送迎保育st → 自宅



前提として、送迎保育stは、駅から離れている認可保育園が、駅から離れていて送迎に不便朝夕の延長保育時間が合わない(短い)と言う理由で敬遠され、認可保育園が空いている場合には、特に機能すると思われます。

保育内容が好みでは無いと言う理由で敬遠されて空いている場合、送迎保育stの送迎可能な範囲に認可保育園の空きが無い場合は、送迎保育stが機能しない(利用者が少ない)場合も考えられます。利用者が少なくて存続が危ぶまれても存続可能なのか?補助金と利用料で運営可能なのか?なども長い目で見ると重要な問題です。送迎保育stが途中で無くなる(または送迎を止める)と、在園している保育園に通い続けることが出来なくなる可能性が大きいと思います。

保育園は、毎日通えない距離だったり、預けたい時間より短い保育時間だった場合には、預けられませんが、この送迎保育stを使えば、それを超えられる魅力的なものです。個人個人で事情は違うと思いますが、親の側のメリット・デメリット、子供の側のメリット・デメリットを総合的に判断して頂いて、利用の可否を決めて頂ければ宜しいと思います。

以下、送迎保育stで考えられるポイントをあげます。参考になれば幸いです。 m(_o_)m



●考えられるポイント

1.親と担当保育士のコミュニケーション

    前記の送迎経路を見ていただけると分かりますが、親は、一切保育園に行かなくなり、担当保育士と会わなくなります(中には会いたくない人もいらっしゃるでしょうが)。担当保育士とのコミュニケーションをどうするか?が問題となります。連絡帳など持ち帰り可能なものがあれば、それを受け渡すことで可能ですが、そのような手段が無い場合、コミュニケーションの手段を担当保育士と相談の上用意するか、コミュニケーションを断念するか、など検討が必要です。


2.バスへの大人の乗車人員

    バスへの園児を除いた大人の乗車人員は、運転手の他に乗車している保育士が必須です。保育園への送迎時の停車中、園児だけにするのは絶対に避けたいです。運転中でも子供たちの様子を常に見てくれる人の存在が必要です。運転手だとミラーで見るしか方法はありません。子供のそばに行って子供の様子を見るには、バスを停車しないといけません。停車するたびに送迎での乗車時間が延びます。バスに同乗する保育士の存在は必須です。


3.送迎保育stの近くでバスを止められる場所

    駅など便利な場所で、送迎時(時間的に5〜15分くらいか?)バスを止められるのは、そう多くの場所は無いと思います。専用の駐車場を確保するのが理想と思いますが、そのために駐車場を確保するのは、運営費用の点で負担となります。駐車場が、送迎保育stから絶対的に近い保証もありません。と言うことで、送迎保育st → バスまでの距離及び交通量、歩道はあるか?など、子供たちの安全面が、どのような状態か?が非常に重要です。


4.保育園の近くでバスを止められる場所

    A園 → B園 → C園の順で送迎する場合で、行きの場合で説明しますと、A園に停車中、B・C園の園児がバスに乗ったままになっています。A園の真ん前に停車できれば送迎保育st側としては、大変助かりますが、前の道が狭い、親の送迎の車を駐車することで近所から苦情が出ている、などの園もあります。そのような園の場合、何処に駐車可能か?が非常に大きなポイントです。バスから保育園までの距離が、長ければ長いほど、バスの中で待っている子供たちの待ち時間が長くなり、自分の保育園到着まで時間も、おのずと長くなります。


5.保育室内への送迎はどちらが

    保育園の保育室内に送迎保育st側が送り届けるのか?保育園の前までなら保育園の保育士が迎えに来てくれるのか?も重要なポイントです。園児各自の引き出しに着替えを入れたり、所定の場所にタオルを掛けたり、紙オムツを棚に入れたり、汚れ物の袋をぶら下げたり、など保育園によりますが、朝の準備がいろいろとあります。それをどちらがやるのか?も重要なポイントです。年齢的に子供が出来るようになっていれば、子供が担当する事も可能でしょう。一例ですが、週末に保育園へ父母が出向き、予め1週間分を用意しておくケースもあります。


6.対象園児の年齢

    0歳児も送迎保育stで送迎してくれるのか?1歳以上からなのか?2歳以上からなのか?3歳以上からなのか?など、どのようになるのか、今のところ対象年齢は、分かりません。親が送迎する場合もそうですが、年齢が低いほど送迎が大変です。特に0〜2歳児は、3歳児以上とは別に特別な配慮が必要と思います。バスもチャイルドシートが必要でしょう。また、オムツをしていないけどお漏らしした(またウンチした)など、低年齢児ほどいろいろ大変です。バスの乗車時間が長くなる場合は、パンツを替えてもらう。オムツをしている場合は、オムツを替えてもらうなどの配慮が欲しいところです。

    世間で幼稚園バスを利用している3歳以上は、それほど心配いらないと思います。乗り物が好きでバスを楽しめるお子さんもいらっしゃるでしょう。車酔いをするお子さんは、ちょっと心配ですが・・・


7.急なお迎え、行事は保育園まで

    子供が、保育園で急な発熱があり、お迎えの連絡が来た、予防接種の予約を日中したので、保育園を遅刻や早退する、などの場合は、やっぱり親が保育園まで出向いてお迎えをしなくてはいけません。また、保護者懇談会・個人面談などや夏祭り・お遊戯会などの行事の時にも保育園に行く必要があります。駅→保育園→自宅までの距離が非常に遠くて、交通手段が無い場合は、何か手段を考えて置かねばなりません。


8.夕方〜夜間に残る友達が多い

    夜間保育園で言われている事ですが、夜間に残る子供が、送迎保育stでは多くなると想像されます。その場合、通常の保育園では、延長時間帯に友達がどんどん帰って行き、寂しくなってしまいますが、送迎保育stでは、同じような時間帯の子供たちがいるので、遊ぶ相手がいて、保育園よりは、寂しくないかも?しれません。でも、やっぱり最後になった子供は、親御さんのお迎えを待ち望んでいる事でしょう。


9.料金の問題(まだ提示されていないので思い浮かぶまま想像です)

    日毎あるいは月極で保育、送迎、食事などの料金を決めることになると思います。朝だけの利用、夜だけの利用、朝夕両方の利用などで料金が違うことが考えられます。また、夜間の利用時間で料金が違う事も考えられます。事前に全てのパターンで料金を確認した方が良いでしょう。また、行政等から利用者への補助はあるのか?認可保育園の延長保育料と同じで、所得により料金に違いがあるのか?または固定金額なのか?2人以上の場合は割り引きがあるか?など事前に確認した方が良いでしょう。


10.食事の問題

    通常、19時(あくまで施設によりそれぞれでしょう)を過ぎる場合は、夕食が出ると思います。家で夕食を食べることを想定した補食(簡単な軽食)なのか? ちゃんとした夕食で、家で食べなくても良い量(カロリーも)なのか? なども送迎保育stを利用する上で重要なポイントです。帰宅時間にもよるでしょうが、家での食事の方針と送迎保育stの夕食が一致している事が望ましいです。

    お子さんが、アレルギー対応食の場合は、どのくらい配慮可能かなど事前に打ち合わせする必要があるでしょう。また対応食を出してもらえる場合、別料金かどうかも事前に確認した方が良いでしょう。


11.白ナンバーなの?緑ナンバーなの?

    最後にナンバーの問題です。多くの園バスは、白ナンバーです。営業行為として乗客を乗せる場合は、緑ナンバーが必要です。多くの園バスは、自前でバスを用意して、白ナンバーで送迎を行っています。スイミングスクール等も自前でバスを用意して、白ナンバーで送迎を行っています。送迎保育stが、送迎を営業行為として行うと解釈されて緑ナンバーになると、運行費用がさらに高くなります。さらに白ナンバーのままで、送迎保育stのバスとスイミングスクールなどのバスを共有するのは、難しいのではないかと考えられます。


以上、ご覧頂けた通り、子供たちの視点にたった場合、夜間に残る友達が多いと言う点が子供にとってのメリットであり、親の視点にたった場合、送迎が便利と言うメリットにつきると思います。


asahi.com のサイトにも関連記事が掲載されています。

     育児支援の拠点便利な駅前に --保育ステーション、厚労省が設置方針--   (朝日新聞 2001年9月28日付)
http://www.asahi.com/life/child/0929a.html






●日中の送迎保育st

朝夕は、送迎する園児が走り回ったりして、にぎやかな送迎保育stですが、園児を送り出した日中は、空いています。そこを一時保育、育児相談、家庭で育児している親子のたまり場であるフリースペースなどに使用する事が可能です。また、送迎保育stを既存の保育園の分園として、3歳未満児用の認可保育園とする事も可能です。基本的に駅に近くて便利な場所ですし、一時保育、育児相談、フリースペースなどは、利用者も多いのではないかな?と思います。以下、関連の記事がありますのでご紹介します。


子育てを強力に支援 北越谷保育ステーション   (埼玉新聞 2001年10月4日付)
     --オープンから3カ月 利用理由いろいろ--

 開所から約三カ月がたった東武伊勢崎線北越谷駅前にある「北越谷保育ステーション」。保護者の緊急な場合などに保育を行う一時保育、育児相談、市内三カ所の保育園児を対象に送迎、保育を行う送迎保育を行っている。送迎保育の利用はないものの一時保育は約五百八十人が利用、育児相談にも約百五十人が相談を寄せるなど保育ステーションは強力な子育て支援の拠点となりつつある。

 一時保育は生後四カ月から就学前児童が対象。職員は一日六、七人体制で保育にあたっている。保育室は約二百平方メートルの広さでかなり余裕を感じさせる。調理室も設けられ、昼、夕食も提供している。

 「今日初めて一時保育を利用した」という越谷市大沢に住む○○○○さん(35)はエレクトーン講師で週一回自宅で教えている。子どもは三歳の長男、八カ月の二男がおり、これまでエレクトーンを教える日は近所の友人宅に子どもを預けていた。しかし、「友人から預れないと急に言われたらどうしよう」と心配したり「同じ友人に連続して預けるわけにいかないので順番に頼んだ」といった気苦労が絶えなかった。どうしても都合がつかない場合は夫に仕事を休んでもらったという。

 保育ステーションは開所したときから知っていたが「何となく入りづらかった」という。「今日思い切って来てみたが職員も思ったより多くて安心できそう。一時間だけ預ってもらったが久しぶりにゆっくり買い物できてお茶が飲めた。これからは定期的に利用したい」と話す。

 開所間もなく利用し現在も月二、三回、二歳七カ月の双子を預ける同市神明町の○○○○さん(31)の利用理由も仕事。夫の事務を手伝っており、自宅で事務処理をする間、子どもを預けている。これまでは春日部市の実家に預けていたが、「保育ステーションは距離が格段に近いので助かる」と話す。また、「実家だとどうしても子どもが甘やかされがちになってしまうが、ここでは集団性も身につく」という。「同じ年代の子どもを持つ友人でこんな施設があったらと思っている人が多かった。実際に四人がここを利用している」と話す。

 保育ステーション職員の○○○○○さん(27)は利用理由として仕事のほかに、「通院」「家族の介護」「英会話などのスクール」なども多いと話す。

 育児相談は子どもを迎えにきた帰りがけに話す親が多い。「ごはんをなかなか食べてくれない」「みんなもう歩けるのにまだ歩けない」といった内容だが職員は話をまず聴くことに努める。職員の○○○○さん(35)は、「話をするだけでほっとするお母さんが多い」と話す。

 北越谷保育ステーションは市が設置し、運営は社会福祉法人に委託している。市内には南越谷にもう一カ所、同様な施設が設けられている。

 一時保育の利用時間は午前六時三十分から午後十時。子育て相談は午前八時三十分から午後六時三十分。問い合わせは同保育ステーション(048・970・8200)。


送迎保育ステーションが、多くの親子にとって救いとなる事を願っています。 m(_o_)m




管理人:さふぁり  更新日:2001/10/11

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